生理的口臭と病的口臭

生理的口臭と病的口臭

口臭の原因

口臭の原因は10中8,9の割合で口の中で発生するガスに由来します。口の中にいる細菌が、口の中に入った食べ物のタンパク質成分、新陳代謝ではがれた粘膜上皮、血球成分などを分解して揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)というガスを作ります。このガスが口臭の主たる原因物質です。

 

口臭の原因となる3大VSCは以下とおりです。
・ジメチルサルファイド…生ゴミのような臭い
・硫化水素…卵の腐敗臭
・メチルメルカプタン…血生ぐさいにおい、魚や野菜の腐敗臭

 

 

口臭はこれらが混じり合うので大変嫌な臭いになります。

 

しかし、この種の菌は誰の口の中にもいるので、どんなに健康な人でも口が臭くなる可能性があります。

 

 

他にも蓄膿症、肝臓病、腎臓病などの全身疾患が原因となって口臭が強くなることがあります。

 

これで安心?誰にでも口臭はある

生きている人であれば絶対に物は食べるし、口の中には細菌はいます。なので、どんな人にも必ず口臭はあります。

この普通の人ならだれにでもある口臭を「生理的口臭」と言います。このたぐいの口臭は、病院に行って治療する必要もなく、気になるなら歯磨きや市販のブレスケア商品で対処できます。

 

この生理的口臭ですが、口の中の細菌が発生させる揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)というガスが原因となる口臭です。これは唾液の量が口臭レベルに大きく関わってきます。睡眠時はあまり唾液がでないので、起床時は大変口臭が強くなります。そして食事の時は唾液が出るので口臭レベルは低くなり、また時間が経つと強くなってきます。また、緊張で唾液の量が少なくなるときなども口臭が強くなります。

 

 

誰にでもある口臭として食事に由来する口臭もあります。具体的にはにんにくなどを食べたときに出る口臭です。少し誤解があるようですが、これらの食事由来の口臭は胃から沸き上がってくることはありません。

 

食道と胃の境目にある噴門部は、飲食物が通過するとき以外は括約筋でしっかり閉じていて、ゲップでもしな い限り、胃内部の空気が口の中に出てくることはありません。食べ物由来の口臭は、まず、食べ物の成分が血液中に溶けて、それが肺に運ばれ、呼吸の時に排出されることにより発生します。
しかし、この種の口臭は、食べ物により持続時間は異なりますが、いずれも時間が経てば解消されます。

 

 

以上のように口臭は誰にでもあるので必要以上にナーバスになる必要はないものの、まめにブレスケアをして、なるべく無臭に近づけたらすばらしいと思います。

 

治療の必要な病的口臭

健康な人では発生しない、治療の必要のある口臭を「病的口臭」と言います。
これには2タイプあって、発生源が口の中であるタイプと、その他の臓器の病気が原因となっているタイプがあります。

 

まず、発生源が口の中のタイプですが、舌苔(ぜったい)、歯周病、進行した虫歯が原因となります。

 

その他のタイプでは、副鼻腔炎、扁桃腺、気管支拡張症などの病気で鼻や喉などから臭いが発生することがあります。また、糖尿病、尿毒症、肝臓、腎臓病などの病気では肺から臭いが発生します。

 

また、それぞれの病気で特徴的な臭い特徴は以下のとおりです。
呼吸器系(肺がん、肺膿瘍)消化器系(胃がん、食道炎)耳鼻咽喉系(扁桃炎、咽頭膿瘍、咽頭がん)…たんぱく質の壊疸臭
咽頭、気管支、肺のカンジダ感染…甘いにおい
糖尿病…アセトン臭
肝硬変、肝臓がん…アンモニア臭
トリメチルアミン尿症…魚臭

 

これまで説明した口臭のタイプと発生源を整理すると以下の表のようになります。

口臭の種類

原因

発生場所

生理的口臭

食べかす、細菌など

口の中

食品による口臭

ニンニク、ニラなど臭いの強い食品


病的口臭

歯周病、進行した虫歯、舌苔など

口の中

口臭 副鼻腔炎、扁桃腺、気管支拡張症など

鼻や喉など

糖尿病、尿毒症、肝臓、腎臓病など


 

生理的口臭が強くなる状況

諸条件により口臭には強くなる状況があります。

 

●寝起き(起床時)
寝起きは一日のうちでも最も口臭がきつくなる時間帯です。夜寝る前にきちんと歯磨きをしている人でも起床時の口臭は強くなります。その原因には唾液の分泌量と空腹が関係しています。就寝中は唾液の分泌量が激減するので、口の中の細菌活動が活発になり、VSCという口臭原因物質が作られます。また、夕食から朝食までの間隔は長く、空腹状態になるため、血液中に含まれる代謝物がガスとなって肺の中に混ざってしまいます。これらの条件が重なる寝起きは、特に口臭が強くなる時間と言えます。

 

●空腹時
空腹時には、体全体の代謝機能が低下しており、その結果血液中の代謝物が肺で放出されるため、息にも臭いが混じってしまいます。さらに、前回の食事の後に口の中に残った食べ物のカスは、時間と共に細菌の活動により口臭原因物質が作られてしまいます。空腹になりやすい時間帯にはこれらの現象が重なって、口臭が強くなる傾向があります。

 

●睡眠不足
睡眠不足になると自律神経のバランスがおかし くなって、交感神経が優勢になる興奮状態になり、唾液の分泌量が減ります。
唾液の分泌量不足となると、口の中の細菌が増殖しやすくなるので口臭の原因となります。

 

●疲労時
疲労が激しい時は、血液中の疲労物質が肺でカス交換され、息に混じって口臭となる場合があります。

 

これらの状況時には特に念入りにブレスケアを行いましょう。

 

口の中で発生する口臭

口の中で発生する口臭もいくつがの原因がありますが、大きくは舌苔(ぜったい)と歯周病です。

 

・舌苔
意外なことに口臭の発生源として歯ではなく舌が最も大きな割合を占めるそうです。舌苔(ぜったい)といって、舌に付着する苔状の白い物質が悪臭の発生源となってしまいます。舌苔の正体は歯垢と同じく食べ物のカスや細菌類の塊です。舌はよくみると凸凹しており、また個人の形状によって汚れがたまりやすい人もいるようです。
自分の口臭を疑っている人は一度鏡で舌を見てください。通常だとピンク色をしているはずですが、白くなってませんか?
「なんだか白いぞ」
と思う人は歯磨きと合わせて、舌のお掃除もやってみましょう。それで口臭が収まるかもしれません。

 

 

・歯周病
舌苔と並んで口臭の大きな原因となっているのが歯周病です。
歯周病は初期段階では歯茎に炎症を起こし、進行すると歯槽骨などの歯周組織が破壊され、歯が抜け落ちます。虫歯と違って痛みがなかなか現れないため、自分で気づくのがおそくなり、気がついたときにはかなり重症化いることも多い恐ろしい病気です。

 

歯周病を引き起こす主な原因は歯垢(プラーク)で、その約70%は細菌です。毎日の歯磨きが不十分だと、歯垢は徐々に厚みを増していきます。歯垢の深層部分は酸素が少なくなり、歯垢の中で生息する嫌気性細菌の毒素や酵素の影響で、歯肉に炎症が見られるようになります。歯肉がブヨブヨと赤く腫れて、歯ブラシが触れただけでも出血するようになり、更に悪化すると膿が出たりします。
 このように歯周病になると、歯肉の組織が破壊されて、出血したり膿が出たりしますが、嫌気性細菌はタンパク質を分解する酵素を出して、この破壊された組織や血球成分などのタンパク質を分解し、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させます。
歯周病ではVSCの中でもメチルメルカプタン(血生ぐさいにおい、魚や野菜の腐敗臭) が特に多く発生します。メチルメルカプタンは、硫化水素の約30万倍もにおいが強いためこれが口臭の主犯格になります。なので、口臭検査で歯周病が発覚することも多いといいます。

 

歯周病は歯にも悪く、口臭にも大きな影響をあたえるので、普段から歯磨きを怠らず、歯茎の状態を定期的にチェックするなどの予防対策が必要です。

 

・進行した虫歯
少しぐらい小さなむし歯があっても、それだけで口臭が強くなるということはありません。しかし、進行したむし歯があると、そこが口臭の発生源になります。ただ、口臭云々より、そのレベルになったら痛みがかなり激しくなることから、虫歯には気づくと思います。進行した虫歯は自然治癒しないので歯医者さんに行くしかありません。

 

虫歯を予防するためには、歯磨きを怠らず、歯を丈夫にするためにフッ素の入った歯磨き剤を使ったり、歯科医さんでフッ素塗布を受けると良いでしょう。

 

・歯石
歯石は、歯垢が唾液に含まれるミネラルで石化したもので、口臭の原因となります。歯石は歯磨きでは取れないので、歯医者さんで除去してもらう必要があります。

 

口以外で発生する口臭

口臭の9割以上が口の中で発生しますが、それ以外の部位が原因となることもあります。副鼻腔炎、扁桃腺、気管支拡張症などは鼻や喉が発生源となり、糖尿病、尿毒症、肝臓、腎臓病などの病気では肺から臭いが発生します。口臭も深刻な悩みですが、これらの病気には深刻な自覚症状があり、命に関わることもあるため、口臭予防や治療という側面からは気にしてもあまり意味がありません。

 

また、空腹時や疲労時は、血液中の老廃物が肺でガス交換されて、臭いの強い息として排出される場合がありますが、生理的口臭なので治療の必要はありません。

 

国が実施した口臭の調査結果

1992年に厚生省(現厚生労働省)が一般的な日本人の口臭の実態を把握するために、2,672名(15歳〜64歳)について口臭原因物質(揮発性硫黄化合物:VSC)測定を機器により行った結果の一部を以下にまとめました。

 

 

1.口臭には一日の間で変動があり、食事やうがいの時間が経過するほど口臭が強くなる(VSC濃度が高くなる)。
つまり、一日で口が臭い時と臭くない時があるということ、歯磨き等を頻繁にすることで口臭が減らせることがわかります。

 


引用:「歯ow to 口臭予防 〜お口のケアで健やかな生活〜」(8020推進財団冊子)

 

2.平均VCS濃度に有意な男女差は認められない。
なんとなく、男性のほうが息が臭そうなイメージですが、意外に女性との違いはないそうです。考えて見れば、同じ物を食べる人間なのだから当然のことと思います。女性の皆さんも気を抜かないでください。

 


引用:「厚生労働省HP」
(http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-07-001.html)

 

 

3.年齢が高いほどVSC濃度は高い傾向にある。
たしかに、実感としてそれはあります。

 

 

4.口臭と関連するのは舌苔と歯周病の存在であり、その強さは舌苔の方が歯周病より大きい。
意外に口臭の最大の原因が舌であることが明らかになりました。

 

 

5.口臭の自己評価と実際の口臭の有無とは相関しない。
口臭は鼻の周囲で常時発生するため、嗅覚疲労、つまり臭いに鼻が慣れてしまって自己評価しにくくなっています。そのため、自分の息が臭いのかわかりにくいため、人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人を無自覚にさせています。
これは重要ですね。神経質な人は口臭がなくとも、自分の口臭を気にする反面、無神経な人はどれだけ人に迷惑かけようと、それに気づかない。

 

 

6.社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%〜23%存在する。
つまり客観的に言って、10人に1,2人は口が臭いという結果です。意外に多いのか、少ないのか。

 


引用:「厚生労働省HP」
(http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-07-001.html)